今月の話題

カラフルに生きる - カロテノイドの健康上の利点

Julia Bird

3月 23, 2018

何がニンジンをオレンジに、スイカをピンクに、トウモロコシを黄色に、トマトを赤色に染めるのでしょう?カロテノイドです!カロテノイド群の色とりどりの植物色素が食卓を虹色にするのです。鮮やかなカロテノイドは食卓を彩るだけではありません。カロテノイドの種類ごとに様々な健康上の利点があります。カロテノイドが豊富な食品を健康的に食事に取り入れ、各種類のカロテノイドから最大の利点を引き出すことは良いアイデアです。

ビタミン A 源としてのオレンジカロテン

3 種類のカロテノイドには植物ベースのプロビタミン A 源としての基本的な役割があります。これらのカロテノイドは α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンです。多くのオレンジや黄色の果物や野菜の深い色は α-カロテンおよび β-カロテンに由来しています。緑の葉物野菜も両方含んでいますが、その色は深緑のクロロフィルがあるため隠されています。β-クリプトキサンチンを含む果物や野菜もあり、パパイヤやマンゴーなどの熱帯フルーツがそれにあたります。1

先進国では、必要なビタミン A の 1/3 はカロテノイドから摂取しているとされていますが、この割合はベジタリアンではより高くなっています。2α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンの構造は人体により、ビタミン A 活性型の 1 つであるレチノールに簡単に変換されることを意味しています。これは視力、通常の免疫機能、細胞の成長や特化に必須です。3

プロビタミン A カロテノイドを含む食品には、レチノール活性等量と呼ばれる、レチノールへの変換程度を示す変換係数があります。この係数は、特定の量のレチノールの生成に必要なプロビタミン A カロテノイドの量を予測します。一般的に、1 μg のレチノールを得るには、栄養補助食品からの 2 μg の β-カロテン、食品からの 12 μg の β-カロテン、もしくは 24 μg の α-カロテンまたは β-クリプトキサンチンが必要です。  60 g (2 オンス) の中程度のオレンジ色のニンジンには約 3,000 μg の β-カロテンと 4,000 μg の α-カロテンが含まれていて、合わせて約 400 μg のレチノールになります。4これは成人男女のビタミン A 必要量の約半分です。3

目の健康のための黄色いキサントフィル

キサントフィルという名前はギリシャ語で黄色を意味し、トウモロコシ、イエローパプリカ、ケールなど、多くの黄色、オレンジ、緑色の葉物野菜に見られます。53 種類のキサントフィル、ルテイン、ゼアキサンチンおよびメソゼアキサンチンは、目の健康に果たす肯定的な役割を研究されています。自然界に存在する 100 以上ものカロテノイドの内、人間の通常の食事から吸収できるのはわずか 50 種類だけです。6上記 3 種類は詳細な視覚をつかさどる非常に特定の目の領域に存在し、さらにその他の目の部分にも広く見られます。選択的に目に配置されていることから、研究者は上記 3 種類は通常の視覚機能に重要なのではないかと示唆しています。7

ルテインとゼアキサンチンは 2 つの方法で私たちの視覚を支えているのではないかと考えられています。まずはじめに、黄色は目の裏側にある繊細な視覚細胞の黄色いフィルターとしての役割を果たしていることを意味します。イエローレンズの眼鏡をかけると青色光をブロックするように、黄色いキサントフィル、ルテイン、ゼアキサンチンは青色光が網膜に達することを防ぎます。8これにより高照度光環境での視力の改善につながり、臨床試験でも示されています。9,10その他のカロテノイドのように、ルテインとゼアキサンチンも強抗酸化物質です。目での視覚の処理は酸化ストレスを引き起こしますが、抗酸化物質はそれを保護できます。ルテインとゼアキサンチンは目全体に見られることから、老化によって起こる視覚の劣化を保護し、維持すると考えられています。7


食品のカロテノイド含有量11

1 カップのカボチャ缶詰に含まれるα-カロテン:11.7 mg

1 カップのニンジンジュースに含まれる β-カロテン:22 mg

1 カップの調理したケールに含まれる β-カロテン:11.5 mg

1 個の中程度のパパイヤに含まれる β-クリプトキサンチン:2.3 mg

1 切れ(くし形)のスイカに含まれるリコピン:13 mg

1 カップの調理済み冷凍ほうれん草に含まれるルテインとゼアキサンチン:19.8 mg


認知向上カロテノイド

果物や野菜を食べると本当に賢くなるのでしょうか?試験の前日にビーツやブロッコリーを山ほど食べても良い結果は得られませんが、果物と野菜の摂取と、高齢者の認知力の低下との関係は多くの研究文献で指摘されています。12-15果物と野菜からのカロテノイドは脳の酸化ストレスの低減に役立つと考えられていて、高レベルの酸化ストレスは加齢による認知機能の低下に結びつけられています。16

これが果物および野菜に含まれるカロテノイドによるものかどうかを調べるために、ルテインと、ゼアキサンチンまたはメソゼアキサンチンのどちらかを含む、栄養補助食品を用いた臨床研究が最近行われました。例えば、カロテノイドが低レベルの 91 人の健康な成人に対して 1 年間の臨床試験を行ったところ、10 mg のルテイン、10 mg のメソゼアキサンチンおよび 2 mg のゼアキサンチンを含む栄養補助食品を摂取したグループには記憶力に改善が見られ、標準記憶テストでの著しい間違いの減少が見られました。プラセボグループには記憶スコアやまたはエラーに大きな変化はありませんでした。1762 人の成人に対して行われた 2 番目の研究では、12 mg のルテインとゼアキサンチンを含む栄養補助食品を摂取したグループは 1 年後に、プラセボグループと比較して認知機能に改善が見られました。18若くて健康な成人に対して行った 3 番目の研究では、12 mg のルテインとゼアキサンチンを含む栄養補助食品を 12 ヶ月摂取したグループは、プラセボグループと比較して空間記憶、推論能力、複雑な注意力に改善が見られました。19この勇気づけられる結果はカロテノイドを豊富に含む食品の重要性を示しています。

皮膚の健康

栄養学の世界では、広く使われる「体は食べた物からできている」という表現があり、これは特にカロテノイドに当てはまります。カロテノイドが豊富な食品または栄養補助食品を大量に取得する場合「カロテノデルミア」と呼ばれる無害な状況を経験することがあります。これは、皮膚の層それぞれにカロテノイドが堆積したために皮膚がオレンジ色になることです。20,21カロテノイドは皮膚の色に多少の影響を与え、皮膚の色はカロテノイドが豊富な果物や野菜の摂取を反映しています。21

カロテノイド α-および β-カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチンが皮膚に見られます。20カロテノイドは抗酸化物質で、その明るい色は光を吸収することを示すため、カロテノイドが皮膚の健康に与える影響について研究されています。UVA から UVB 波長にわたる光を吸収することから、カロテノイドは日焼けを抑える機能について調査されています。β-カロテン、リコピン、ルテインおよびその混合物を含む様々なカロテノイドは、UV 光に暴露後の皮膚の赤みを低減する機能があります。22-24カロテノイドによる日焼け防止は、太陽露出からの保護をわずかですが常に提供し、日焼けからの全体的な保護に役立っている可能性があります。23

カロテノイドは皮膚の見た目も良くします。臨床試験では、ルテインおよびゼアキサンチンを含む局所および経口を組み合わせた栄養補助食品の取得により、プラセボグループと比較して、皮膚の保湿および弾力性を高めました。25ルテインおよびゼアキサンチン異性体は、二重盲検法プラセボ対照試験の一部として栄養補助食品として取得する場合、皮膚の色合いを改善することができました。24ゼアキサンチン補助食品単独とスキンクリームを合わせて使用した 3 番目の臨床試験では、ゼアキサンチンはシワの数を減らし、皮膚の保湿力を改善しました。26

健康のためのカラフルライフ!

カロテノイドは食事を彩るだけでなく、特定の健康上の利点にも関連があることを見てきました。カロテノイドはプロビタミン A 源であり、健康的な肌色に役立ち、通常の視覚のサポートに役立ち、さらに特定のカロテノイドを取得すると認知機能の改善に役立つという報告もあります。食卓にカロテノイドが豊富な果物や野菜を多く取り入れるようにしましょう!

リファレンス

  1. Khoo, H. E., Prasad, K. N., Kong, K. W., Jiang, Y. & Ismail, A. Carotenoids and their isomers: color pigments in fruits and vegetables. Molecules 16, 1710-1738, doi:10.3390/molecules16021710 (2011). 
  2. Weber, D. & Grune, T. The contribution of beta-carotene to vitamin A supply of humans. Mol Nutr Food Res 56, 251-258, doi:10.1002/mnfr.201100230 (2012).
  3. Otten, J. J., Hellwig, J. P. & Meyers, L. D.     (The National Academies Press, Washington, DC., 2006).
  4. Grassmann, J., Schnitzler, W. H. & Habegger, R. Evaluation of different coloured carrot cultivars on antioxidative capacity based on their carotenoid and phenolic contents. Int J Food Sci Nutr 58, 603-611, doi:10.1080/09637480701359149 (2007). 
  5. Perry, A., Rasmussen, H. & Johnson, E. J. Xanthophyll (lutein, zeaxanthin) content in fruits, vegetables and corn and egg products. Journal of Food Composition and Analysis 22, 9-15, doi:https://doi.org/10.1016/j.jfca.2008.07.006 (2009).
  6. Khachik, F., Beecher, G. R. & Smith, J. C. Lutein, lycopene, and their oxidative metabolites in chemoprevention of cancer. Journal of Cellular Biochemistry 59, 236-246, doi:10.1002/jcb.240590830 (1995).
  7. Mares, J. Lutein and Zeaxanthin Isomers in Eye Health and Disease. Annu Rev Nutr 36, 571-602, doi:10.1146/annurev-nutr-071715-051110 (2016).
  8. Fletcher, L. M., Engles, M. & Hammond, B. R., Jr. Visibility through atmospheric haze and its relation to macular pigment. Optom Vis Sci 91, 1089-1096, doi:10.1097/OPX.0000000000000355 (2014).
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