今月の話題

レスベラトロールと腸内細菌叢:新たなプレバイオティクス?

Julia Bird

4月 19, 2018

私たちの大腸には膨大な量のバクテリアが存在し、腸内細菌叢として知られる豊かな生態系を形成しています。腸内細菌叢の健康への影響について現在集中的に研究が行われ、腎臓病、肥満、睡眠障害、精神障害などのさまざまな状態は腸内細菌の特定の変化と関連していると考えられています(1–5)。たとえば、肥満の人には特定の腸内細菌叢のパターンが見られ、これは肥満の人が通常の体重の人よりも食事から多くのエネルギーを摂取しており、肥満につながることを意味しています(6, 7)。

NUTRI-FACTSでは最近の今月のトピックで腸内細菌叢の基本について取り上げました。腸内細菌叢を使って健康を改善するうえで重要なのは、さまざまな種類のバクテリアの相対数を変化させることです。この1つの方法は「善玉菌」として知られるプロバイオティクスを使うことです。プロバイオティクス入りのヨーグルトなど、善玉菌を含む食品を消費すると、腸内細菌叢により多くの消費されたバクテリアが存在することになります(8)。次の方法としては、プレバイオティクスによるアプローチで、特定のバクテリアの成長を促進または抑制するように食事を変えます。この方法は、私たちの食事が私たちの腸内細菌叢を形成することに基づいています。バクテリアは食べ物の好みに非常に依存し、私たちが摂取する食べ物次第でよく増殖したり減ったりします。たとえば、食事に食物繊維を加えると、豊富な特定のバクテリアの量に変化が生まれ、腸の健康が改善することがあります(9)。

腸内細菌叢の研究における新たな概念では、プレバイオティクスとして分類されるものが拡大されています(10)。かつてプレバイオティクスは、プレバイオティクスと見なされるためには腸内細菌によって消費される必要がありました。しかしながら、食事のその他の成分はバクテリアに食べ物として必ずしも使用されませんが、腸内細菌叢の構成を変化させる可能性があります。

この1つの例が赤ワイン、ベリー類、ピーナッツなどに含まれるレスベラトロールです。レスベラトロールはその性質として、葉やブドウのつるをカビから守ります(11)。試験管で行った研究によると、レスベラトロールはLactobaccillusなどの「善玉菌」を刺激しつつ、Escherichia coliEnterococcus faecalisなどを含む特定の「悪玉菌」の成長を抑える可能性があることが分かりました。したがってレスベラトロールは、腸内細菌叢の組成を変化させる役割で注目を集めています。

レスベラトロールが腸内細菌叢に影響を与える潜在的な方法には、腸内の実際のバクテリアを変化させること、バクテリアが生成するものを変えること、そして最近の論文記事にあるように腸内細胞が機能する方法を変化させることの3つがあります(12)。

複数の研究では、レスベラトロールが肥満の人の腸内細菌叢を正常体重の人のものに近づける変化を起こさせる可能性があることが示されました。たとえば、脂肪分および糖分の多い食事を与えられたマウスは肥満となり、その腸内細菌叢は人間と同様に変化(Bacterioides門のバクテリアの割合が増加し、Firmicutes門のバクテリアの割合が減少)します。レスベラトロールを投与されたマウスは、腸内細菌叢の肥満関連の変化が逆転し、肥満を促進する食事を与えられているにもかかわらず、正常体重のマウスと似た腸内細菌叢でした(13)。

他にも、レスベラトロールが腸内細菌叢によって生成される特定の成分の濃度に影響を与える可能性を示した興味深い研究があります。これによると、レスベラトロールは腸内で生成される心血管のリスク因子の量を変化させ、マウス動脈のプラーク形成を減少させました(14)。

3つ目として、レスベラトロールは大腸内の細胞の機能に影響し、それが腸内細菌叢に影響する可能性があります。これは腸管壁浸漏症候群で重要と考えられています(15)。たとえば、レスベラトロールは食事の毒素による損傷後に腸細胞を保護するのに役立ち、悪玉菌が侵入するのを防止しました(16)。関連する研究から、レスベラトロールは細胞間の栄養素の漏出を防ぐのに役立つ腸内のタンパク質の産生を促進する可能性があり、これは腸内細菌叢の変化と関連していることが分かりました(17)。

これらの研究から、レスベラトロールは腸内細菌叢を変化させることで人体の健康に有益な影響を与える可能性があることが示唆されています。腸内のさまざまなバクテリアの相対数を変化させる可能性があります。これは腸内細菌叢の構成成分に影響を与え、正常な大腸機能に役立ちます。研究はまだ初期段階ですが、レスベラトロールの腸内細菌叢に対するさらなる影響への期待が示されています。

リファレンス

  1. Farre N, Farre R, Gozal D. Sleep Apnea Morbidity: A Consequence of Microbial-Immune Cross-Talk? Chest 2018. doi: 10.1016/j.chest.2018.03.001
  2. John GK, Wang L, Nanavati J, Twose C, Singh R, Mullin G. Dietary Alteration of the Gut Microbiome and Its Impact on Weight and Fat Mass: A Systematic Review and Meta-Analysis. Genes (Basel) 2018;9(3). doi: 10.3390/genes9030167
  3. Kasselman LJ, Vernice NA, DeLeon J, Reiss AB. The gut microbiome and elevated cardiovascular risk in obesity and autoimmunity. Atherosclerosis 2018;271:203-13. doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2018.02.036
  4. Lau WL, Savoj J, Nakata MB, Vaziri ND. Altered microbiome in chronic kidney disease: systemic effects of gut-derived uremic toxins. Clin Sci (Lond) 2018;132(5):509-22. doi: 10.1042/CS20171107
  5. Nguyen TT, Kosciolek T, Eyler LT, Knight R, Jeste DV. Overview and systematic review of studies of microbiome in schizophrenia and bipolar disorder. J Psychiatr Res 2018;99:50-61. doi: 10.1016/j.jpsychires.2018.01.013
  6. Bervoets L, Van Hoorenbeeck K, Kortleven I, Van Noten C, Hens N, Vael C, Goossens H, Desager KN, Vankerckhoven V. Differences in gut microbiota composition between obese and lean children: a cross-sectional study. Gut Pathog 2013;5(1):10. doi: 10.1186/1757-4749-5-10
  7. Clarke SF, Murphy EF, Nilaweera K, Ross PR, Shanahan F, O'Toole PW, Cotter PD. The gut microbiota and its relationship to diet and obesity: new insights. Gut Microbes 2012;3(3):186-202. doi: 10.4161/gmic.20168
  8. Morelli L. Yogurt, living cultures, and gut health. Am J Clin Nutr 2014;99(5 Suppl):1248S-50S. doi: 10.3945/ajcn.113.073072
  9. Vandeputte D, Falony G, Vieira-Silva S, Wang J, Sailer M, Theis S, Verbeke K, Raes J. Prebiotic inulin-type fructans induce specific changes in the human gut microbiota. Gut 2017;66(11):1968-74. doi: 10.1136/gutjnl-2016-313271
  10. Steinert RE, Sadaghian Sadabad M, Harmsen HJ, Weber P. The prebiotic concept and human health: a changing landscape with riboflavin as a novel prebiotic candidate? Eur J Clin Nutr 2016;70(12):1461. doi: 10.1038/ejcn.2016.141
  11. Jimenez JB, Orea JM, Montero C, Urena AG, Navas E, Slowing K, Gomez-Serranillos MP, Carretero E, De Martinis D. Resveratrol treatment controls microbial flora, prolongs shelf life, and preserves nutritional quality of fruit. J Agric Food Chem 2005;53(5):1526-30. doi: 10.1021/jf048426a
  12. Bird JK, Raederstorff D, Weber P, Steinert RE. Cardiovascular and Antiobesity Effects of Resveratrol Mediated through the Gut Microbiota. Adv Nutr 2017;8(6):839-49. doi: 10.3945/an.117.016568
  13. Sung MM, Kim TT, Denou E, Soltys CM, Hamza SM, Byrne NJ, Masson G, Park H, Wishart DS, Madsen KL, et al. Improved Glucose Homeostasis in Obese Mice Treated With Resveratrol Is Associated With Alterations in the Gut Microbiome. Diabetes 2017;66(2):418-25. doi: 10.2337/db16-0680
  14. Chen ML, Yi L, Zhang Y, Zhou X, Ran L, Yang J, Zhu JD, Zhang QY, Mi MT. Resveratrol attenuates trimethylamine-N-oxide (TMAO)-induced atherosclerosis by regulating TMAO synthesis and bile acid metabolism via remodeling of the gut microbiota. mBio 2016;7(2). doi: 10.1128/mBio.02210-15
  15. Fandriks L. Roles of the gut in the metabolic syndrome: an overview. J Intern Med 2017;281(4):319-36. doi: 10.1111/joim.12584
  16. Ling KH, Wan ML, El-Nezami H, Wang M. Protective Capacity of Resveratrol, a Natural Polyphenolic Compound, against Deoxynivalenol-Induced Intestinal Barrier Dysfunction and Bacterial Translocation. Chem Res Toxicol 2016;29(5):823-33. doi: 10.1021/acs.chemrestox.6b00001
  17. Etxeberria U, Arias N, Boqué N, Macarulla MT, Portillo MP, Martínez JA, Milagro FI. Reshaping faecal gut microbiota composition by the intake of trans-resveratrol and quercetin in high-fat sucrose diet-fed rats. Journal of Nutritional Biochemistry 2015;26(6):651-60. doi: 10.1016/j.jnutbio.2015.01.002