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米国小児科学会が受胎後1000日間についての議論を深める

Nate Matusheski, PhD

2月 27, 2018

定期的にNUTRI-FACTSを購読されてる方は、長鎖多価不飽和脂肪酸その他の微量栄養素(鉄、ヨウ素、コリンなど)が受胎後1000日間の脳の発達にどれほど重要であるかについてすでにご存知と思います。この期間は受胎から子供の2歳の誕生日までの重要な発達期になります。 妊娠中の栄養不足は、早産、神経管欠損症、低出生

体重など、あらゆるネガティブな結果と関連しています。(1) 栄養不良は世界的にも幼児の主な死因であり、適切な栄養を摂取している子供は小児期疾患を克服できる可能性が大幅に高いとされています。(2) しかしながら、最近の研究結果から、この重要な期間に適切な栄養を摂取しないと、神経発達が阻害され、脳機能、精神的発達、知的能力の発達において生涯を通して影響を及ぼす可能性があることが示唆されています。(3–6)

最近の方針声明で米国小児科学会(AAP)は、受胎後1000日間の脳の発達において、重要な栄養素の重要性について新たに注目を呼び掛けています。 タンパク質やエネルギーに加えて、アラキドン酸(ARA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの長鎖多価不飽和脂肪酸およびビタミンA、B6、B12、K、さらに葉酸、コリン、亜鉛、銅、ヨウ素、鉄、セレンなどの微量栄養素をこの重要な時期の神経発達をサポートする重要な因子として強調しています。 AAPは、鉄欠乏症による長期的な神経行動学的な損傷(7)、幼児期のヨウ素欠乏症とIQテスト成績不振の関連性(8,9)、DHAおよびARA補給から6年後に観測された知能への好影響(10)について示しています。

AAP方針声明は、これらの重要な栄養素の重要性について小児科医に通知し、健康に必要な栄養摂取の促進をサポートし、コミュニティにおける幼少期の栄養摂取を促すプログラムの発展を呼び掛け、すべての子供たちが健康な生活を送れるようにすることを目的としています。

AAPは小児科医と小児栄養に携わるその他の主導者に対して10項目の推奨事項をまとめています。

  1. 授乳についての知識を深め、教育および推奨する
  2. 幼少期の栄養に焦点を当てた栄養プログラムを維持および強化するように地域、州、連邦レベルで呼びかける
  3. 重要な時期の脳の発達に必要な必須栄養素を供給する食物源について精通する
  4. 実行可能な「優れた栄養」の摂取を呼び掛けるメッセージにより、最適な食事の選択肢についてより規範的なアドバイスを提供する
  5. 乳幼児の微量栄養素と主要栄養素の摂取を改善する既存の栄養プログラムに注目する
  6. 家庭に対して幼少期の栄養を供給するプログラムを利用するように推奨し、これらのプログラムへの障壁を取り除くように呼び掛ける
  7. これらの栄養プログラムへの障壁となりうる資格の変更や財務構造に反対する
  8. 幼児期の栄養不足に関連する小児の神経発達上の懸念を予測する
  9. 婦人科医や家庭医と連携し、妊娠中の食事を改善するように推奨し、必須微量栄養素の摂取を制限しうる状況を特定する
  10. 「飢餓下にある地域」を支援し、飢餓に焦点を当てた組織と関わることにより、社会的行動への個人的な寄与を検討する。

多くの医師は栄養に関する十分な知識を持たないまま診療しています。(11) AAPのこの新たな声明は、母乳育児に関する方針(12)や鉄補給に関する方針など、幼少期の栄養の重要性に注目した既存の声明を基礎として作成されています。(13). 米国における今日のヘルスケア環境が不確かなことからも、AAPは小児科医診療の重要な役割として幼少期の栄養にさらに注目し、継続的な健康を促進するうえで受胎後1000日間における必須栄養素の摂取の重要性について強調しています。

リファレンス

  1. Elmadfa I, Meyer AL. Vitamins for the first 1000 days: preparing for life. Int J Vitam Nutr Res Int Z Vitam- Ernahrungsforschung J Int Vitaminol Nutr. 2012;82:342–7.
  2. Black RE, Victora CG, Walker SP, Bhutta ZA, Christian P, Onis M de, Ezzati M, Grantham-McGregor S, Katz J, Martorell R, et al. Maternal and child undernutrition and overweight in low-income and middle-income countries. The Lancet. 2013;382:427–51.
  3. Morgane PJ, Austin-LaFrance R, Bronzino J, Tonkiss J, Díaz-Cintra S, Cintra L, Kemper T, Galler JR. Prenatal malnutrition and development of the brain. Neurosci Biobehav Rev. 1993;17:91–128.
  4. Grantham-McGregor S. A review of studies of the effect of severe malnutrition on mental development. J Nutr. 1995;125:2233S–2238S.
  5. Pollitt E, Gorman K, L Engle P, Rivera JA, Martorell R. Nutrition in early life and fulfilment of intellectual potential. J Nutr. 1995;125:1111S–1118S.
  6. Georgieff MK, Brunette KE, Tran PV. Early life nutrition and neural plasticity. Dev Psychopathol. 2015;27:411–23.
  7. Georgieff MK. Long-term Brain and Behavioral Consequences of Early Iron Deficiency. Nutr Rev. 2011;69:S43–8.
  8. Bleichrodt N, Born MP. A metaanalysis of research on iodine and its relationship to cognitive development. 1996 [cited 2018 Feb 5]; Available from: https://research.vu.nl/en/publications/a-metaanalysis-of-research-on-iodine-and-its-relationship-to-cogn
  9. Pharoah P, Buttfield IH, Hetzel BS. Neurological damage to the fetus resulting from severe iodine deficiency during pregnancy. Int J Epidemiol. 2012;41:589–92.
  10. Colombo J, Carlson SE, Cheatham CL, Shaddy DJ, Kerling EH, Thodosoff JM, Gustafson KM, Brez C. Long-term effects of LCPUFA supplementation on childhood cognitive outcomes1234. Am J Clin Nutr. 2013;98:403–12.
  11. Adams KM, Butsch WS, Kohlmeier M. The state of nutrition education at US medical schools. J Biomed Educ [Internet]. 2015 [cited 2017 Aug 30]; Available from: http://dx.doi.org/10.1155/2015/357627
  12. American Academy of Pediatrics Section on Breastfeeding. Breastfeeding and the Use of Human Milk. Pediatrics. 2012;129:e827–41.
  13. Baker RD, Greer FR, Nutrition TC on. Diagnosis and Prevention of Iron Deficiency and Iron-Deficiency Anemia in Infants and Young Children (0–3 Years of Age). Pediatrics. 2010;126:1040–50.