今月のトピック
2017年レビュー:栄養研究の主要な記事
27 11月 2017
科学分野の中でも、特に栄養学に関するニュースがよくメディアに取り上げられます。栄養学のどのような点が人々の関心を引くのでしょうか。食べるという行為は誰しも欠くことができず、健康で実り多い生活を送るには、何を食べるかが大きく影響するからでしょう。今年2017年は、食生活や栄養に関する優れたニュースや研究がすでに多数発表されています。今年栄養学で話題になった事柄について、その概要をご紹介します。
30 7月 2019
ビタミンKは血液凝固や骨代謝をサポートし、そして血中カルシウムレベルの調節を助けるビタミン群から構成されています。ビタミンKについて明らかにされていないことの中には、人の行動能力の維持機能があります。ビタミンKレベルは骨や関節だけでなく、心血管の健康にも重要です1,2。
ビタミンKはニワトリの異常出血を予防するために必須の栄養素として1935年に初めて発見されました3。それから何十年もの間、ビタミンKは「凝血ビタミン」として知られていました(実際、Kというのはドイツ語のkoagulationの頭文字に由来しています)。ビタミンKは正常な血液凝固に必要な、肝臓で生成される特定のタンパク質を活性化します。ビタミンK阻害薬のワルファリン(抗凝固剤)はビタミンKの作用に拮抗し、凝血を抑えます。十分なビタミンKがなければ、血液は凝固せず、重度の出血が発生します4,5。しかし、ビタミンKは血液凝固以外にもさまざまな役割があります。身体では通常は骨の破壊と構築が常に行われています。骨の構築にはオステオカルシンが必要であり、これは骨のミネラルと強固に結合して、強い骨を作成します。そして、オステオカルシンを活性化するためにはビタミンK1とK2が必要です6。
オステオカルシンはGlaタンパク質ファミリーの1つです。ビタミンKはタンパク質の構造(特にグルタミン酸と呼ばれるタンパク質の構成単位)に小さいが、必須の化学変化を起こすことで、Glaタンパク質(血液凝固における重要なタンパク質を含む)を活性化します7。 かつては血液凝固にのみ関与すると考えられていたビタミンKですが、現在では体内で少なくとも16種類のGlaタンパク質に影響することが知られています。これらには骨を強くしたり、動脈の健康を維持することに関与するタンパク質が含まれており、ここから十分なビタミンKを摂取することの健康への重要性が示唆されています。
骨のカルシウム強化は、骨折し難くなることからも明確です。しかし動脈内のカルシウム(プラークだけでなく壁や正常に見える動脈内のカルシウムも)動脈硬化を引き起こし、血圧を高める可能性があります。目標は血中から骨へのカルシウム移行を助けることであり、天然のビタミンKはこのプロセスを助けることができます。
現在のビタミンKの科学的展望は健康上の利点を支持していますが、十分なビタミンKを摂取することが重要であることは証明されていません。1 mg/日のビタミンK1と8 μg (320 IU)/日のビタミンDと各種ミネラルを摂取した健康な閉経後女性の研究では、プラセボ群およびビタミンDと各種ミネラルのみ摂取群の両方と比較して、臀部および脊椎の骨量減少が低下しました8。
別の研究では、骨粗鬆症の閉経後女性に48週間、毎日1,500 mgの炭酸カルシウムと45 mgのビタミンK2またはプラセボを服用してもらいました。ビタミンKサプリメントを摂取した女性では、脊椎骨ミネラル密度が増加しました。一方で、カルシウムサプリメントのみを摂取した群では9.3%の減少となりました9。 同じレベルのビタミンK2は3年間以上にわたり寛骨の強度を維持し、大腿骨頚部の全体的な形状をサポートしました。一方プラセボ群ではこの期間に寛骨の強度が失われました10。 これより低いレベルの180μg/日のビタミンK2を3年間摂取した群でも、下部脊椎や大腿骨頚部の骨ミネラル含量と密度が有意にサポートされ、骨強度も増加しました11。
ビタミンKはまた、血糖値レベルに影響しているようです12。高い心血管疾患のリスクを持つ高齢者を対象にした研究では、100μg/日のK1摂取により、2型糖尿病の発症が17%減少しました13。さらに、最高用量のビタミンK1を摂取した群では、糖尿病に関連する炎症マーカーが減少していました14。このインスリン感受性の増加と炎症の減少は、ビタミンK依存性Glaタンパク質であるオステオカルシンの増加の結果の可能性があり、これは前臨床試験においてインスリン分泌および感受性を増加させることが示されています15。
ビタミンKを含有する野菜を脂肪と一緒に摂取することで、吸収が良くなる可能性があります16。私が好むビタミンK1源には、ケールやほうれん草のような緑黄色野菜があります。ビタミンK1とオリーブやアボカドのような健康的な植物油の組み合わせを見つけることができます。その他の脂溶性ビタミンとは異なり、ビタミンKは急速に代謝および排泄され、少量が血中に移行します。このためサプリメントもビタミンKを確実に摂取する方法である理由です16,17。コエンザイムQ10と同様に、ビタミンK2は鶏肉やケフィア飲料に含まれています。日本の発酵大豆食品である納豆にも含まれます。豆知識:武士たちは強さと俊敏性を高めるために納豆を食べました。あなたの強さと行動能力の両方をサポートするために、ビタミンK1とK2を食物やサプリメントから摂取しましょう。
Michael Roizen医師は『AgeProof: Living longer without breaking a hit or running out of money』の著者です。
Facebook @Understanding.vitaminsでNUTRI-FACTSをフォローし、最新の栄養学研究とニュースの最新情報を入手しましょう。
27 11月 2017
科学分野の中でも、特に栄養学に関するニュースがよくメディアに取り上げられます。栄養学のどのような点が人々の関心を引くのでしょうか。食べるという行為は誰しも欠くことができず、健康で実り多い生活を送るには、何を食べるかが大きく影響するからでしょう。今年2017年は、食生活や栄養に関する優れたニュースや研究がすでに多数発表されています。今年栄養学で話題になった事柄について、その概要をご紹介します。
29 1月 2019
地球の総人口の増加によりさまざまな課題が発生していますが、とりわけ世界中の人々に食糧を供給することが大きな課題です。すべての人々が健康的な食事を取るためには、より持続的可能性の高い食糧生産システムを確立する必要があります。EATランセット委員会(EAT-Lancet Commission)が発行した、「持続可能な食糧システムの視点から見た健康的な食事(Healthy Diets From Sustainable Food Systems)」というタイトルの最近の報告書では、世界で持続可能な食糧供給を実現するための戦略をいくつか概説しています。
30 7月 2018
今回はビタミンDにスポットライト(というよりは日光)を当てます!ビタミンDは骨の健康に良いことは良く知られていますが、その他の面で私たちの体を支えるものを特定しようという研究が熱心に行われています。続きを見ていきましょう