ビタミン A // レチノール

供給状況

数カ国にわたって行われた調査では、摂取のパターンが欧州と米国では大幅に異なっていることを示唆しています。ビタミンA欠乏症のリスクにさらされた多くの人々は、既成ビタミン(レチノール)にプロビタミンA(例えば、β-カロテン)を加えた総体的なビタミンAの摂取に依存しています。

プロビタミンAの高用量摂取は特別な条件を伴う場合(完全菜食主義者やベジェタリアンについて示されるような)には可能ですが、既成ビタミンA(レチノール)の摂取は通常決定的に不足しており推奨摂取量を満たしていないことを調査結果が示しています。

最新のドイツにおける摂取研究 (25) によれば、15% の男性と 10% の女性の摂取量がビタミンA(レチノール)について設定された推奨基準値を下回っています。

更に、研究ではビタミンAの前駆体β-カロテンが、ビタミンA摂取量全体での貢献度が大きいことが判明しています。

オランダでは、オランダ政府の推奨する1日当たり成人男性の平均摂取量がレチノール活性当量1,000マイクログラムを超えましたが、一方成人女性については1日当たり推奨摂取量800マイクログラムを5%下回りました (26).

英国では、男性の 50% および、女性の 49% が、現在のビタミンAについての

英国政府の推奨摂取量を満たしていません (27).

同様にアイルランドでは、男性と女性の毎日の平均的な摂取量は政府の推奨する摂取量を大幅に下回りました (28).

オーストリアでは、男性の平均的な摂取量は全ての年齢グループについて推奨栄養所要量(RDA)の105%から125%でした。女性の摂取量については、56才以上の女性について摂取量の範囲は125%から160%を示しました(29).

ビタミンA摂取不足の危険にさらされているグループは、主に妊婦および、授乳中の母親、新生児、頻繁に感染症に罹る小児、動物由来の食品摂取を避けている高齢者を含む人々などです。

ビタミンAの不足は、原発性欠乏症もしくは、二次栄養不足の何れかの形で発症します。原発性欠乏症は、十分な量の緑黄色野菜、果物および、レバーを摂取しない小児および、成人に発症します。また、早期離乳も不足のリスクを増大させる恐れがあります。ビタミンAの二次栄養不足は、脂質吸収の慢性不全(吸収不全)、低脂肪ダイエットおよび、煙草の副流煙などのオキシダントへの慢性的な曝露が原因と考えられています。