食物からの過剰なビタミンB9(葉酸)の摂取に関連する副作用はありません。安全についての懸念は、合成された葉酸摂取に限定されます。
ビタミンB12 欠乏症の1つの兆候は、ビタミンB9(葉酸)欠乏症との関連性から見分けが付きにくい(欠乏症症状を参照してください)「巨赤芽球性貧血」です。ビタミンB12欠乏症未診断による患者への葉酸の高用量投与は、潜在的なビタミンB12欠乏症を治療することなく巨赤芽球性貧血を治療できるかも知れませんが、その場合その患者に不治の神経系損傷を発症させるリスクを残してしまうことになります。
かかるケースは大抵の場合、葉酸投与値が5,000マイクログラム(5ミリグラム)および、それ以上において散見されます。
AFPP研究(Aspirin/Folate Polyp Prevention Study -アスピリン/葉酸投与による大腸ポリープ再発効果調査臨床試験)(48) のフォローアップ試験では、ビタミンB9(葉酸)の数年間の継続摂取後、前立腺ガンのより高い発症率を示しました(49)。しかし、専門家はその試験の設計に基本的な不備があることを指摘しました(専門家の鑑定結果も参照してください)。
さらに、結果は従前公表された全ての観察との明確な矛盾でした。それによれば、長期間の葉酸ステータスの良好な持続がガンのリスクを軽減するはずでした。
2件のランダム化プラセボ比較臨床試験から組み合わされたデータによる研究において、ビタミンB9(葉酸)サプリメント(1日当たり0.8ミリグラム)および、ビタミンB12(1日当たり0.4ミリグラム)により治療された虚血性心疾患患者の肺ガンと死亡率のリスクの増大を示唆しました (50)。著者は、食物からの葉酸不足がガン発症の初期の段階を促進する可能性があるのに対して、葉酸サプリメント高用量投与がガン細胞の成長を促進するのではないかと考えています。
専門家は、成人における葉酸の高用量投与が低いガン発症率に繋がりかつ、ガンでの死亡率を50%減らすと言う現行の証拠と当該研究との間に一貫性がないと批判しました。短期間の研究が、公衆衛生上の葉酸強化の長期利点を無にしてしまう恐れがあります。予防介入は、長期評価を必要とするでしょうし、禁煙はガンのリスクの急速な縮小を引き起こすライフスタイルの変化としてユニークではあるかも知れませんが、幾つかの予防介入からもたらされる利益を得るための時間枠は数十年に及ぶかもしれません (51)。
欧州食品安全機関は、ビタミンB9(葉酸)のための許容上限摂取量(UL)を確立しました(52):
年齢 (才) | UL (ミリグラム/日) | |
1–3 | 0.2 | |
4–6 | 0.3 | |
7–10 | 0.4 | |
11–14 | 0.6 | |
15–17 | 0.8 | |
成人 | 1.0 |
他のライフステージグループが高用量葉酸摂取の副作用に対する感受性を増大させたことを示すデータが無いので、妊婦あるいは、授乳中の母親にも当該ULは適用可能です。
不治のダメージの発生を防止するため、ビタミンB9(葉酸)サプリメント摂取の許容上限摂取量(UL)が米国食品栄養委員会によって確立されました(1):
*給源は食物および、フォーミュラ(乳幼児用ミルク)に限ります。
以下に留意ください:
相互作用の可能性があるため、栄養補助食品は、摂取に先立って必ず医師にご相談ください。
年齢グループ | UL (ミリグラム/日) | |
乳児 生後0~12 ヶ月 | 設定不能* | |
小児 1~3 才 | 300 | |
小児 4–8 才 | 400 | |
小児 9~13 才 | 600 | |
青少年 14~18 才 | 800 | |
成人 19 才以上 | 1,000 (= 1 mg) |