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完全菜食主義者の食生活については微量栄養素摂取の注意深い管理が必要

Published on

1 5月 2016

NUTRI-FACTS Author

フィンランドにおける研究結果によると、完全菜食主義者が自らの食事に高度な注意を払っている場合であっても、微量栄養素欠乏症に曝されることが実証されています。完全菜食主義者群では、対照群に比較してβ-カロテン、セレン、ヨウ素、オメガ3脂肪酸EPAおよびDHAのレベルが低かったことが判明しました。この完全菜食主義者群は既にビタミンDとビタミンB12のサプリメント投与を受けていました。

栄養摂取量と栄養バイオマーカーステータスが22のフィンランド人完全菜食主義者群によって構成され、年令と性別をマッチさせた非完全菜食主義者群から得られたデータと比較されました (1, 2)。摂取データは、完全菜食主義者群についてはビタミンD平均摂取日量 5 µg、また、ビタミンB12平均摂取日量が 0.9 µgであったことを示したのに対し、非完全菜食主義者群では、それぞれ14 µg と 8.7 µgの数値を示しました。しかし、ほとんどの菜食主義者群が栄養素欠乏症気味であることに気が付いていると考えられ、既にビタミンDおよび、ビタミンB12サプリメントを摂取していました。菜食主義者は、非菜食主義者に比べた場合、ビタミンB3/ナイアシン(27 mg vs. 41 mg)とセレン(79 µg vs. 149 µg)摂取量が著しく(P= 0.001)低いことが確認されています。

バイオマーカーデータでは、2群間での血液中の海洋性オメガ-3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の憂慮すべき差異を示しました。菜食主義者では、EPAレベルが血中総脂肪の0.63%、また、DHAレベルが0.85% であるのに対し、非完全菜食主義者での対応する数値はそれぞれ、2.33% および、2.25%でした。これは、オメガ-3指数4以下の如何なる数値においても心血管疾患の深刻なリスク増加をもたらすことから菜食主義者のオメガ3指数が1.5前後であることは憂慮されます。

サプリメント投与にもかかわらず、完全菜食主義者群では、ビタミンDの血清総濃度が35%低かったことが確認されました。しかし、ビタミンB12サプリメント投与のレベルは、その値が非菜食主義者にくらべて未だ約3分の1少なかったものの、適正量を達成したことを示しました。また、完全菜食主義者群では、セレンのレベルが遥かに低く、さらに尿中ヨウ素レベルに大きな差異が認められ、非菜食主義者群の値の範囲が17.7 ~ 86.5 µg/Lであったのに対し完全菜食主義者群では4.6 ~ 21.8 µg/Lであったことが確認されました。WHOは、100 µg/L未満をヨウ素欠乏症と定義しています。この理由は、通常食品業界によって使用されないヨウ素添加塩の低用量摂取量によるものと考えられます。

本研究の著者は、「完全菜食主義者は、カルシウム強化飲料を摂取し、食事を補完するため、ビタミンB12、ビタミンD、ヨウ素サプリメントを摂取する必要がある」と述べています(2)。しかし、完全菜食主義者群では、非常に深刻なEPAやDHA欠乏症への対処には失敗したものの、藻類長鎖オメガ-3油を含むサプリメントの摂取によってこれに対処することができました。

参考文献

  1. Elorinne A-L, Alfthan G, Erlund I.et al.; 「食物および、栄養摂取とフィンランド人完全菜食主義者と非菜食主義者の栄養状態」; Plos One 2016: 11(2), e0148235. doi.org/10.1371/journal.pone.0148235
  2. Chu W; 「典型的な完全菜食主義者の食事は、重要な栄養素を欠いている;サプリメントが役立つ可能性あり:研究」; www.nutraingredients.com 23rd March 2016

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