今月のトピック
アルツハイマー病と栄養に関する知識
15 6月 2018
30 3月 2016
アイルランドにおける研究では、ビタミンEの摂取による血漿α-トコフェロール濃度の上昇がオメガ-3脂肪酸DHA, EPAおよび、ALAを含むPUFA(多価不飽和脂肪酸)の血中濃度の上昇につながることが実証されました。
2008~2010年にかけてかけて成人を対象に行われた食物摂取の断面調査、アイルランド国立成人栄養調査(NANS)から得られたデータを使用して、ビタミンEおよび脂肪酸摂取レベルが判定されました(1)。この調査では、ビタミンEの摂取が血漿α-トコフェロール濃度を上昇させ、それによってオメガ-3脂肪酸、DHA, EPAおよび、ALAを含むPUFA(多価不飽和脂肪酸)の血中濃度を結果的に上昇させることを実証することができました。この研究では、PUFA含有サプリメントの既存のユーザーは、研究対象から除外されました。脂肪酸摂取量は、血漿α-トコフェロールの四分位数全体で有意な差は認められませんでした。しかし、全体のPUFAの割合は、血漿α-トコフェロール濃度(p˂0.001)によって大幅に増加しました。
DHAレベルが増加に向かう強い傾向も認められましたが、統計的有意性を示すには至りませんでした。要約すると、本研究では、日常的なビタミンEの摂取がオメガ-3脂肪酸を含むPUFA(多価不飽和脂肪酸)を脂質過酸化からの保護に関連することを実証しました。
この結論は、体内α-トコフェロールの枯渇が脳内DHAレベルの枯渇を引き起こすことを実証したゼブラフィッシュ使用の最新の動物実験によって裏付けられました。
α-トコフェロールの人体の基礎必要量である一日当たり3~4 mgは、一般的な西洋食におけるPUFAの通常の摂取をバランスさせるだけで、1日当たり12.5~20 mgに増量する必要があると算出されています (3)。抗酸化物質としてのビタミンEのこの本質的な役割は、欧州食品安全機関(FESA)によって確認されています。すべての入手可能な証拠を確認した結果、「ビタミンEは、細胞成分の酸化的損傷からの保護に貢献する」と結論付けました(4)