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乳児の健康と発育に対する栄養の重要性についての最新の科学調査
6 5月 2019
フランスのベルサイユで開催された大きな小児科の大会である第20回Journées Interactives de Réalités Pédiatriques (JIRP)では、栄養の専門家と医療従事者が乳児と小児の健康に関する研究と科学の発展を報告し、長鎖多価不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)とアラキドン酸(ARA)を含む食事性脂肪の重要性を議論しました。続きを読む。
21 11月 2018
早産(妊娠周期37週未満)は、新生児の生存率と長期的な神経発達において最も重要な因子です。1,2 37週未満の早産は若齢期のあらゆる合併症の85%の直接的な原因となっており3、5歳未満の小児の死亡の主な原因です。4早産で生まれた乳児(34週未満で生まれた乳児)は特に危険です。集中治療室に滞在する期間が長くなることが多く、肺、消化管、免疫系ならびに神経系統の発達による視力、聴力行動、学習とコミュニケーション障害など、生涯にわたる健康上の問題を発生する可能性があります。
感情的かつ経済的に大きな負担が家族にかかるだけではなく、早期早産(ePTB)は社会にとっても大きな経済的負担となっています。Carlson et al5によると、ePTBの割合は1990年以降低下しています。研究者たちは、ドコサヘキサエン酸(DHA)のサプリメント摂取が米国における早期早産を最大75%低下させる「潜在的な高成功率」、低リスク戦略であると報告しています。Kar et al6は早産発生率を低下させる現在のリスクベースのアプローチの限界から、特にePTBについては、リスク低下に対して集団ベースのアプローチを強調する必要性について特定しました。介入は女性にとって利用しやすく、手頃で、受け入れやすいもので、副作用が最小限である必要がありました。7
2014年の米国の早産率が11.4%であること、さらに早期早産がそのうち3%を占めていることから、この問題が重大かつ重要であることが分かります。8世界中では毎年約1500万人の新生児が早産で生まれています9。
妊娠結果に与える食事の影響は、1985年の論文xで取り上げられ、科学者たちは、オメガ3が豊富に含まれた魚介類を食事で摂取しているフェロー諸島の女性は妊娠期間が長く、子供はデンマークのメインランドの子供より体重が多いことについて報告しました。魚や海藻などの海洋源から得られる長鎖オメガ3脂肪酸が妊娠期間の長さの原因であると考えられました。
2015年、Kar et al11は、オメガ3脂肪酸の早期早産とあらゆる早産に対する効果について評価する包括的なレビューを実施しました。彼らは早期早産発生率が58%低下し、早産全体では17%低下したことを発見し、オメガ3脂肪酸は早期早産のリスクを低下するのに安全かつ有効であると結論付けました。
エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、栄養サプリメントで摂取可能な長鎖オメガ3脂肪酸であり、妊娠中は1日につき200 – 300 mgのDHA摂取が推奨されていますが12、早産リスクの低下をサポートするための推奨摂取量はまだ示されていません13。
コクランレビューは、証拠を収集する「ゴールドスタンダード」として世界的に認知されており、Makrides et al (2006)14 やMiddleton et al (2018)15により妊娠中の長鎖オメガ3脂肪酸の利益の評価が行われました。2018年のレビューでは、妊娠中の長鎖オメガ3脂肪酸摂取が母子の転帰に与える影響について調査した、発表済みの無作為化試験すべてを評価しました。研究の品質について考慮されました。妊娠中に摂取したサプリメントのすべての形状や用量について分析しました。研究者たちは、70の試験について分析し、その多くは高所得国で、主に単胎妊娠の女性19,787名が対象でした。研究結果から、著者は長鎖オメガ3脂肪酸の推奨量を提出しました。
2018年のコクランレビューでは、妊娠中の長鎖オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取により、長鎖オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取をしなかった場合と比較して、早産児(37週未満)を出産するリスクが11%低下し(25試験、参加者10,184名)、ePTB(34週未満)のリスクを42%(9試験、参加者5,204名)低下したという高い質のエビデンスを発見しました。
また、研究者たちは、低体重児の出産リスクも低下(15試験、参加者8,449名)したことも発見しました。これらの発見を考慮し、著者は1日あたり長鎖オメガ3脂肪酸、DHA、EPAを500~1,000 mg、さらに1日あたりDHAを500 mg最低限追加することが最も効果的だと結論付けました。
一部の研究では、出産後の小児の成長と神経発達について調査しましたが、サプリメントを摂取した女性としなかった女性の子供の転帰にほとんど違いは見られませんでした
2018コクランレビューの発見と著者の推奨の概要:
妊娠中の長鎖オメガ3脂肪酸(DHAとEPA)のサプリメント摂取は早産のリスクを低減する(特に単胎妊娠)。
妊娠中の長鎖オメガ3脂肪酸(DHAとEPA)のサプリメント摂取は低体重児のリスクを低減する。
入手可能な最良の臨床証拠から、長鎖オメガ3脂肪酸の最も効果的な用量は500 ~ 1,000 mgである(そのうち少なくとも500 mgがDHA)。
妊娠中の長鎖オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取が小児の成長と発達に与える長期的な利益については分かっていない。
さらに研究が必要な点としては、長鎖オメガ3脂肪酸の最小有効用量、最適な組み合わせ、長鎖オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取で最も利益のある女性のタイプなどです。
ePTBのリスク低減についてDHAの役割をさらに研究するため、ADORE試験16は、200 mgのDHAを含む出産前サプリメントに加えて、藻類油(800 mgのDHA)のカプセルを1日2回摂取する利益について調査しています。炎症は早産の良く知られた原因のため、著者はDHAはその抗炎症特性のため、有効である可能性があると仮定を立てています。
コクランレビューでは出産後の小児の成長と発達に明らかな利益が発見されなかったものの、Kannass et al (2009)17は、出産時に血中DHA濃度の高い母親に生まれた新生児は、生後2年まで高度な集中力の持続時間があったと示しています。母親の妊娠中のDHAの状態と、健康な新生児の問題解決スキルの相関性について、さらなる証拠が2018年ノルウェー人の研究で示されました。この研究によると、母親の学歴などの交絡因子を調整した後でも、母親の妊娠中のDHAの状態が新生児の12か月の時点における問題解決スキルに、正の関連性があると示しました。
2018年のコクランレビューと共に、著者は、この結果は、女性が食事またはその他のDHAが豊富なソースから十分なレベルのDHAを摂取することの重要性を補強するものだと結論付けました。
2018年のコクランレビューと上記の論文による証拠が示す通り、DHAを含む長鎖オメガ3脂肪酸の最適な摂取は、最適な妊娠をと間違いなく新生児の健康と発達をサポートするため、健全な妊娠に必須です。
WHOは1日あたりDHA 200~300 mgの摂取を推奨していますが、この最近の臨床証拠から、早産のリスクを低下させるには、単胎妊娠の女性は、1日あたり長鎖オメガ3脂肪酸(DHAとEPA)500~1,000㎎を含む(そのうち最低500㎎がDHA)サプリメントの摂取を推奨量として支持しています。
6 5月 2019
フランスのベルサイユで開催された大きな小児科の大会である第20回Journées Interactives de Réalités Pédiatriques (JIRP)では、栄養の専門家と医療従事者が乳児と小児の健康に関する研究と科学の発展を報告し、長鎖多価不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)とアラキドン酸(ARA)を含む食事性脂肪の重要性を議論しました。続きを読む。
18 1月 2019
Susan Carlson博士(カンザス大学メディカルセンターのAJ Rice栄養士および特別教授)が、コクランレビューで発表された早産に注目した新しいオメガ3研究について独自の見解を共有します。
6 11月 2018
毎年11月14日は世界糖尿病デーです(国際糖尿病連盟(IDF)と世界保健機関(WHO)が1991年に制定)。糖尿病と心臓の健康には密接な関連があります。一般開業医のヒラリー・ジョーンズ医師は、すべての成人、特に糖尿病患者に向けて、健康を支える心臓に良い健康的な食事のヒントを述べています。