今月のトピック
最新研究:未熟児研究、オメガ3とオメガ6
7 11月 2018
世界未熟児デーが毎年11月にあり、世界中で未熟児への意識を高め、早産の危険因子について学び、先端の科学からはオメガ3とオメガ6が早産のリスクを軽減する役割についても議論する機会を提供します。
21 2月 2019
子供の成長の最初の1000日は、受胎の瞬間から2歳の誕生日までです。この期間は、両親にとって子供の長期的な身体的および精神的な健康にプラスの影響を与え、子供の潜在能力を最大限に引き出すためのかけがえのない期間です。
妊娠後期および若年期は、脳の成長にとって重要な期間です。DHAは脳の主要な構成脂質で、胎児および幼児の脳は、成長に従って大量のDHAの蓄積を必要とします。2009年のKannass et al.による研究では、分娩時に高い血中DHAレベルの母親から生まれた幼児は、2歳での集中力持続時間が高いレベルにあることを示しています。(1)
妊娠中の女性に推奨される所要量は、脂肪分の多い魚などの食事から、あるいはDHA強化食品、飲料、栄養補助食品のいずれかから1日あたり500 mgです。
2018年のコクランレビューでは、妊娠中の長鎖オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取により、長鎖オメガ3脂肪酸のサプリメント摂取をしなかった場合と比較して、早産児(37週未満)を出産するリスクが11%低下し(25試験、参加者10,184名)、早期早産(34週未満)のリスクが42%(9試験、参加者5,204名)低下したという高い質のエビデンスを発見しました。これらの発見を考慮し、著者は1日あたり長鎖オメガ3脂肪酸、DHA、EPAを500~1,000 mg、さらに1日あたりDHAを500 mg最低限追加することが最も効果的だと結論しています。(2)
妊娠中の母体のDHA状態が幼児の脳の発達に極めて重要であることを示すそれ以外の証拠が、2018年5月に公開されたノルウェーの研究により示されました。(3)
胎児または幼児の脳の成長と発達におけるDHAの重要性を調査するため、彼らは妊婦のDHA状態と、健康に生まれた幼児との問題解決能力との間の関連を調査しました。
彼らは、母親のDHA血中レベルを妊娠28週と出産の3か月後に測定し、生後3か月、6か月、12か月の幼児の血中脂肪酸レベル、さらに生後6か月と12か月の幼児の問題解決能力との相関を調べました。
妊婦のDHA状態は、社会経済的状態の代わりとして使用した母親の学歴などの取り違えやすい要因を考慮しても、12か月の幼児の問題解決能力との正の相関が見つかりました。彼らはまた、生後3か月の幼児のDHA状態は、生後12か月時点での問題解決能力と正の相関が見つかりました。
彼らは、この結果は妊娠中または授乳中の女性が、食事またはその他の供給源から十分なDHAを摂取することの重要性を補強していると結論しています。
ノルウェーでの調査は、2009年のKannass et al.による有益な発見を裏付けました。この研究からは、適切な食事によるDHAの摂取がなぜ重要なのかを理解するには、妊娠後半14週間および人生の最初の1年間の間に急成長を遂げる胎児と幼児の脳の成長に注目する必要があることが説明されています。彼らはDHAとオメガ6 PUFAアラキドン酸(ARA)は、視覚および脳組織の発達、さらには運動および認知の発達に重要であることを説明しています。(4,5)
そのため、DHAおよびARAの適度な摂取は、妊娠中および授乳中の女性や幼児にとって重要です。現代の食事には十分な量のARAが含まれていますが、最適な量のDHAの摂取はより困難です。
妊娠中におけるDHAのその他の潜在的な利点も研究されています。30年以上前、科学者たちは、オメガ3が豊富に含まれた魚介類を食事で摂取しているフェロー諸島の女性は妊娠期間が長く、子供はデンマークのメインランドの子供より出生時体重が多いことについて報告しました。(6) 最近行われた、複数の研究の大規模なレビューでは、オメガ3 PUFAは早産のリスクを低減すると結論しています。(7) これをさらに調査するため、2017年の米国での研究であるAdoreトライアルは、早産減少についてDHAの影響を調査しています。(8) 炎症は早産の良く知られた原因のため、著者はDHAはその抗炎症特性のため、有効である可能性があると推論しています。
オメガ3 PUFAの、それ以外の妊娠に関連する役割は、Lin et al.による2017年の精神分析(9)で概要された産後うつの緩和に役立つことです。産後うつは、母親と子供両方に悪影響があることから認知されるようになっており、この研究は妊娠中および授乳期間中に適切な量のDHAを摂取することの重要性をさらに高めました。
DHAは母体または胎児の健康を適切にサポートし、健康な妊娠のために必須です。現在は、妊娠した女性は1日あたり最低500mgのDHAオメガ3を摂取するように推奨されています。しかし、ごく限られた女性しか推奨レベルを摂取しておらず、すでに妊娠中あるいは妊娠を計画している場合は、たくさんの果物と野菜、体に良い脂肪やタンパク質を摂取してください。また、患者さんにはDHAを含む補助食品を摂取し、母親と赤ちゃんに必要な十分な量の栄養を取ることについてお話ししてください。
Read more about the landmark Cochrane Review published in 2018.
7 11月 2018
世界未熟児デーが毎年11月にあり、世界中で未熟児への意識を高め、早産の危険因子について学び、先端の科学からはオメガ3とオメガ6が早産のリスクを軽減する役割についても議論する機会を提供します。
21 9月 2018
体は最敵な機能のために、常に必須ビタミンやミネラルを豊富に含む栄養価の高い食事が必要です。Hilary Jones医師が、最新の「NUTRI-FACTS」エキスパートオピニオンビデオシリーズで、栄養素密度に関する話題を取り上げます。
29 1月 2019
地球の総人口の増加によりさまざまな課題が発生していますが、とりわけ世界中の人々に食糧を供給することが大きな課題です。すべての人々が健康的な食事を取るためには、より持続的可能性の高い食糧生産システムを確立する必要があります。EATランセット委員会(EAT-Lancet Commission)が発行した、「持続可能な食糧システムの視点から見た健康的な食事(Healthy Diets From Sustainable Food Systems)」というタイトルの最近の報告書では、世界で持続可能な食糧供給を実現するための戦略をいくつか概説しています。